四谷NOW~ホームページ制作会社 gravity works(グラビティ・ワークス)ブログ

装丁
失はれる物語
2011.05.25 (Wed)
先週に引き続き本の紹介をしたいと思います。

今日は、文章嫌いの私が文字の面白さを感じ、小説にハマるキッカケをくれた作品。
乙一さんの短編集「失われる物語」を紹介したいと思います。

まず、
帆足英里子さんがデザインしたという事で手にしたこの作品。
ハードカバーの装丁が素晴らしい!のです。

カバー裏側には楽譜を印刷し、タイトル文字は涙でにじんでいるかの様な処理を。
(文字をゆがめ印刷し、その上にUVスポットニスを厚塗りするという印刷技術を使用)
ニス引きした部分から、楽譜が透けて見えます。

表紙を開くと見返し裏に鏡文字になったタイトルが印刷され、
扉部分のメタリック紙にタイトルが映り込む仕掛けが!
目次は五線譜にタイトルが書かれており、標題のストーリーをイメージさせます。

標題である「失はれる物語」のストーリーです。
(簡単に)
交通事故により全身不随。
五感の全てを奪われ…。
残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。
ピアニストの妻がその腕を鍵盤に見立て、
日々の想いを演奏で伝える…。

一方通行の思い。
何もしてあげられないもどかしさ。
最後にとった旦那さんの行動。
どうしようもない状況が、
もどかしく、切ないお話です。

この作品の他に、
「Calling You」
(成海璃子、小出恵介主演。
「きみにしか聴こえない」にタイトルを変更し、2007年に映画化。)

「傷」
(小池徹平、玉木宏主演。
「KIDS」にタイトルを変更し、2007年に映画化。)

「手を握る泥棒の物語」
「しあわせは子猫のかたち」「ボクの賢いパンツくん」
「マリアの指」
「ウソカノ」

短編集のため読みやすかった事もありますが、
次の展開は?と
ワクワク!
ドキドキ!
してしまう文章力。
あっ。
文章ってこんなに面白いんだ!
と感じずにはいられない独特の世界観や文字選び。

本当に良い出会いをしたと思います!
この本に出会っていなければ、
今頃もまだ文字嫌いだったかもしれません…。

本来、乙一さんはグロさのあるダークホラー系が多く、
例えば「GOTH」「ZOO」(←どちらも映画化されています。)など。
こちらは、ファンの間で「黒乙一」と言われています。
「失はれる物語」は「白乙一」と言われる作品です。
ファンの間では、優しさ、切なさのあるお話しを「白乙一」
グロさのあるダークなものを「黒乙一」と言いジャンルわけしています。

この短編集で私のオススメは、
青春恋愛もの「Calling You」
奇妙な共同生活and推理「しあわせは子猫のかたち」
です。
どちらも、現実的にはあり得ないストーリーなのですが、
現実っぽさがある。
乙一さんの言葉に引き込まれ、
自分ならこんな状況に立たされたらどうするか?
と考えてしまいました。

なんだか切ない…。
そして温かいお話です。

気になった方は、是非一読を。
文字が苦手だと言う方は映画化されていますので、
映像を楽しんでみてください。

以上。
山崎でした。
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